甲斐駒ヶ岳(黒戸尾根に挑む)①

2018年 7月13~14日、ほぼ晴れ

『でっかい尾根だな~!・・・』

登山口へ向かう途中、車窓から見える黒戸尾根の巨大な山塊を眼の前にして、少々ビビっておりました。

一週間前、行き先を甲斐駒ヶ岳に急遽変更。
それまでは、日本第二の高峰である北岳から間ノ岳への縦走を一泊で考えておりました。

ところがっ!
ずっと通行止めだった北岳の登山道に橋が架かり、『これで北岳に登れる!』と思って喜んだのも束の間、その翌日今度は大雨で別の橋が流されてしまったようなんです。

そして、悟りました。
神様は私に『北岳に来るな!』と警告しているのだと・・・

確かに大樺沢雪渓のクレバスやスノーブリッジに不安があったことは確かです。
4月に至仏山で踏み抜きの恐怖を体験しておりました。

そこでっ!
お礼参りじゃないですが、北岳の近くで古くからの信仰の山「甲斐駒ヶ岳」へ!
『いつか挑戦しなくては!』と思っていた、標高差2200mを登る国内屈指の難コース、「黒戸尾根」に挑みます。

朝6時20分、ここで登山届をポストに入れスタート。
今日はテン場で一泊するので、テントや食料で背中がやけに重い。

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少し歩いた所にある竹宇駒ヶ岳神社にて安全祈願。

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神社のすぐ横にある尾白川渓谷に架かる吊橋。
定員5名ということですが、一人で渡っても結構揺れました。

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そして、ここが皆さんご存じの「南アルプス天然水」のふるさとで、近くにサントリーの工場があるそうです。

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前夜の雨で増水し、水は濁っておりました。

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広葉樹の樹林帯へ入って行きます。
「黒戸尾根」突入っ!

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2時間以上登り、最初の目標だった「笹の平分岐」到着。
分かってはいるが、すでに2時間以上登ってきたのに、あと7時間て・・・。

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延々と樹林帯の登りが続き、体力及び精神力が試されます。

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やっと少しだけ展望が開けました。
鳳凰山オベリスクが確認できます。

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そして、雲が切れると富士山がその雄姿を現しました。

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樹林帯の道の中に岩場が現れ初めました。
「黒戸尾根」最初の難所、「刃渡り」です。

両側が切れ落ちたナイフリッジ上を歩きますが、しっかりとしたクサリが取付けられていますので、慎重に渡れば何の問題もありません。
ただ、高所恐怖症の人は下を見ない方が良いです。
半端ない高度感、落ちたらと思うとゾッとしてトリハダが・・・。

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「刃渡り」では展望が開けます。
こちらは先月登った「八ヶ岳」、前回こちら南アルプス方面は雲の中でした。

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この辺りで本日の工程の半分位でしょうか!?
すでに1200mほど標高を稼いでおり、普通の登山だったら頂上に立っているはず。
頂上どころか、森林限界にも未だに達していません。

「刀利天狗」手前でハシゴが現れました。
これまでの変わり映えのしない樹林帯の登山道から何でも有りの登山道へ、「黒戸尾根」が徐々に本性をむき出します。

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「刀利天狗」を過ぎ、黒戸山の山頂を巻きながら進むと登山道は一気に急降下。
稼いだ標高がもったいないですね~。
明日の帰り道、この下りを登り返すのかと思うと憂うつにならずにはいられません。

五合目小屋跡の案内板。
下山道が登り。

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登山道が下り。

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そして、ここから七丈小屋までが急登コースで最後の踏ん張り所。
ハシゴ・クサリ・クサリ・ハシゴ・クサリと鬼のように続きます。
私の脚は悲鳴を上げ、腕力に頼るようになり、その腕力も底をつきます。

渡るのが怖~い橋。

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ほぼ垂直のハシゴ。

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私の頭の中をネガティブな思いが占領しつくした頃、山小屋が見えました。

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山小屋でテン泊の受付をすると、小屋のスタッフの人が明るい笑顔で・・・

 『テン場はここから5分程登った所にありますから、お好きな場所にテント張ってください!』

 『え~~~、まだ登るの~~~!?』
 『よくそんな事を面と向かって言えるなっ!』

と言いたい気分でしたが、『今日の登山終了』って勝手に決め付けていただけに、ショックの大きさは計り知れないものがありました。

小屋のベンチで休憩後、テン場に行くと誰も居ません。

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その後、夕方までに二人が来て、この日のテン場は計三張りとなりました。

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「黒戸尾根」、甘く見ていたわけではありませんが、ここまで厳しいコースだとは想像できませんでした。
最低限、明日下山可能な体力は残しておかなければなりません。
明日の朝起きて疲れていたら、頂上は諦めて下山しようと思いました。

②へ続く